小指の思い出
「小指の思い出」という芝居を観てきた。
野田秀樹さん脚本ということで、内容が難しそうだと、
心して観に行ったのであるが、まさしく予感的中。
とても難しい内容で、数学の問題をといている時の感覚に似ている。
自分の理解力、感性鈍さ故なのか、
何処と何処で話が繋がっているのかがわからず、
少し落ち込んでいたが、一緒に観に行ったナエちゃんも、
どうやら同じ気持ちであったとのこと。
だけど、言葉遊びというか、台詞ひとつひとつが
面白いし、どうしたらこんな台詞がおもいつくのだろう、
という、そういうところに惹かれてしまう。
とはいえ、今回、このお芝居を観ることを決めたきっかけは、
「飴屋法水」さんが出演されているということであった。
あの、東京グランギニョール、あの、飴屋さん、ですよね!という。
この方の目力はすさまじく、こんな素敵な歳のとりかたをしている人は、
そうそう、お目にかかれないのではないかと思い、
ナエちゃんと、帰り道「飴屋さんのかっこよさはどうしたらいいのか?!」と
何がどうしたらいいのかすらわからないが、飴屋法水さんを
実際に観た時の、人格崩壊に繋がりそうな、その破壊力的存在に、
完全に心を奪われていた。
ちょっと、画像を加工しすぎて、
横尾忠則さんの絵のような鮮やかさになってしまった。
松重豊さんも出演されており、
当たり前だけど、ドラマ孤独のグルメ、いのがしらごろうさん役の
印象がひとかけらもなく、全くの別人であって、
ああ、役者さんというのは、いつ、どの瞬間から、
役者さんになるんだろう、というわけのわからない事を、考える始末。
自分の人生は、自分が主人公とはいうけど、
今の自分の状態は、まるで他の人に操作されているようで、
自分が消えてしまいそうだという
へこみ状態な心境なため、
改めて、自分が主人公にならねばと、もりもりっと思ったりした。
最後に、ちょびちょび余談ですが、
山中崇さんという役者さんも出演されており、
自分の記憶に間違いがなければ、
暴力団の子弟役として2人で出演されていたはずだ、
ということを思い出し、
「深夜食堂」ファンとしては、密かに嬉しかった。